節分の豆まき
今年(2019年)の「節分」は例年になく暖かく穏やかな朝で翌日が「立春」だということが妙に納得できるものだった。
私がまだ幼い子供の頃から「節分」には豆まきをするのが恒例だった。枡に入れた大豆を父が「鬼は外」と言いながら暗くなった外に撒く姿を覚えている。大豆を拾い母に教えられて年の数だけ口に入れたのも懐かしい記憶だ。70年近く前に房総半島に一家5人で住んでいたが家の軒先に柊(ひいらぎ)と鰯(いわし)の頭が載せられていたのを思い出す。その後、東京に移転してからは止めたようだが不思議に「鰯の頭も信心から」という諺(ことわざ)を思い浮かべる。
さて鎌倉市周辺での「節分」は賑やかなものが多い。大船観音寺、長谷寺、鎌倉宮や江島神社の節分は動員数を誇っている。一方で建長寺の節分会では「かっぽれ」が奉納されて時代の移り変わりを伝えている。
この10年ほど毎月の「お不動様」に参列してから私は極楽寺の節分会に参加している。こじんまりしているが本堂に30人ほどが入り観音経などを上げると福引きが行われる。極楽寺の節分会は星まつりの要素もあり参加者がこれからの1年の幸せを祈る。読経を終えると「福引き」で、毎年小さな紙に書かれた文字に趣向がこらされて興味深い。今年は「甘 鹹 酸 辛 苦」の5文字で「甘い 塩辛い 酸っぱい 辛い」を表していた。引き当てた籤に従い文房具や菓子が貰える趣向で、それが済むと「鬼は外 鬼は外 福は内福は内 恵比寿大黒宇賀の神」と叫んで豆をまく。参拝のため境内にいる人たちが驚いていた。
今年は午後3時から「鎌倉宮」で行われる「節分祭」にも出かけることにした。江ノ電とバスを乗り継いで丁度3時頃に到着する。境内の雰囲気は何となく穏やかで本殿のあたりが賑やかだ。
本殿では「鬼やらい神事」が行われていた。境内中央に組み立てられた櫓(やぐら)の側にいると豆まきの賑やかな声が聞こえて神事がクライマックスを迎えたことを伝える。
やがて櫓の上の警官に続き年男たちが昇る。掛け声に周囲の人波が揺れ警笛が鳴ると豆まきがストップする仕組みだ。
年寄りと子どもは並んでいると「福袋」が貰えるというので列の最後に並んで文具や駄菓子に缶ジュースの入った福袋を貰うと冬の陽が落ちかかっていた。